犬石の地名伝説となった「犬の石像」
犬石(館山市神戸地区)
犬石とは、館山市神戸(かんべ)地区にある地名です。昔は、「犬石村」と呼ばれていました。
この土地が犬石と呼ばれるようになった伝説があります。現在の犬石青年館の前に置かれている「犬の石像」の伝説をご紹介しましょう
犬石の地名伝説
その昔、鉈切洞穴に大蛇が住み着いて周辺を荒らし回っていたそうです。村人はどうすることもできずに困っていると、一人の修験者が表れ、大蛇を退治するために一匹の犬を連れて洞穴に入りました。しかし、修験者は無残にも大蛇に食い殺されてしまいました。
修験者の連れて入った犬が、鉈切洞穴のある西岬からはるか離れた、現在の神戸の犬石青年館のわきにある洞穴から出てきました。犬は赤裸になり、毛もない血まみれの姿で、間もなく息絶え、石になりました。
それを見た村人たちは、その場所に祠を建て、供養しました。これが犬石権現の由来として伝えられています。
やがて、この地は誰とはなく、何時とはなく「犬石の里」と呼ばれ、犬石の地名が生まれたといわれています。
この石像は、現在の南房総市丸山町の川谷石切の青木家(屋号一本松)の祖先で天明7年(1787年)に没した石工、戒名「安心禅定門」という人の作であることがわかりました。「安心禅定門」は他に丸山町の大徳院や方々の神社仏閣の仕事をしていたようです。この像は、壮年期(1700年代、今から260年ほど前)の作品であると推察されます。
船越鉈切神社(館山市浜田)
犬石神社
現在の犬石神社の場所にあった「日月神社」、犬石青年館の場所にあった「犬石権現」、飛び地の「姥神社」を大正6年に1つにして犬石神社としました。
犬石神社の境内には、浅間様とかっちゃま様の祠が祀られています。
かっちゃま様は学問の神様、勝負事の神様とされます。